皆様、こんにちは。
先日の佐中薫さんのギークサロンの、斉藤圭さんによるレポートをお送りします。
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今回のギークサロンは、佐中薫さんから光量子コンピューティングについてのお話でした。
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まずは、量子コンピューティングとは何か、という基本的な説明があり、そのあと、それをどのように生かせるかという理論的な側面と、どのように実現するかというハードウェア的な側面からの、それぞれの歴史的背景や現在の状況、未来の展望についてのお話がありました。


量子コンピューティングで基礎となる単位の1量子ビットは、従来のコンピューターで用いられている単純な0と1という大きさに加えて、その大きさの向いている方向の情報も含めたいわゆるベクトル情報が基本となっていて、重ね合わせ状態を作り出し、並列演算を行い、干渉効果を利用し、最終的に値を読みとる、というプロセスを経ることで、様々な計算を行うことができるそうです。
量子コンピューティングは、暗号化の分野では非常に有用ということがこれまでわかっていて、理論的には、400量子ビットの計算機があれば、従来のコンピュータでは時間がかかりすぎて解析不可能とされている公開鍵暗号が解読できるようになるらしいとのことです。しかしながら、その特性から、どんな分野にも量子コンピューティングが適用できるというわけではなく、どのような分野に有用か、というのを探すのも大きなテーマだそうです。
量子コンピュータの実現には、波動性と粒子性の両方を兼ね備えた物質をうまく利用することが必要で、現在、線形光学、非線形光学、レーザー冷却、超伝導、ダイヤモンド、半導体などによる研究が現在行われているとのことです。佐中さんは現在、光子を用いた量子コンピューティングの実現のための研究を行っているそうです。
量子コンピュータ実現で最も困難なのが、重ね合わせの状態を保持することだそうで、これは量子ビットの量が増えれば増えるほど難しくなるとのことです。現在の研究では多くても10量子ビットまでなのですが、D-Waveというベンチャー企業が16量子ビットの量子コンピュータを開発したらしく、これが本当ならものすごいブレイクスルーだとのことでした。
慣れない概念がいろいろとあって、私は聞いていてちょっと戸惑いがちな部分もありましたが、それでも量子コンピューティングの雰囲気や可能性、そして、佐中さんの情熱を感じることができた、とても有意義なサロンでした。