JTPAニュースレターでは、これから「私の一日」と題して、シリーズでシリコンバレー人の日常生活を描いていくことにしました。シリコンバレーに関する様々な情報は日本でも溢れていますが、「そこに暮らす日本人の普段の生活」についての 情報はあまり見つからないのが事実です。このシリーズが最終的にシリコンバレーの日本人達の暮らしをイメージしてもらえるようなコラムになることを望んでいます。

今回は、シリコンバレーで起業を目指すを四元輝博氏の一日。



この「私の一日」連載コラムも私で6人目でしょうか。
私の場合今まで方々の様に、大学や会社勤めとちょっと違うので、例外的なパターンかもしれません。
それではどうのように違ったパターンなのか、ご理解いただくために、
私の経歴と現状について少しお話してから、典型的な「私の一日」を振り返ってみます。

私の略歴としては、シリコンバレーで約10年に渡り某日系企業の
現地社員としてITマネージャーに従事してきましたが
IT業界のご多分に漏れずレイオフ。
時を同じくして、ハワイ島で遊覧飛行ツアーのパイロットをしている友人のジョシュア清水から、
インターネット上の旅行代理店を始めたいので一緒にやって欲しい、という誘いを受け、
彼と一緒に「ハワイ島旅行代理店スカイメリカ(SKYMERICA Corp.)」 を設立することにしました。

現在はハワイ島に住む相棒のジョシュア清水とは遠く離れたシリコンバレーに在住したまま
スカイメリカの共同経営にあたり、サイト構築とマーケティングをメインに活動しています。

ここで私の経歴ばかり書いてもしょうがないので、詳細については、
いずれ別のコラムで書くことにしましょう。

それでは本題の「私の一日」ですが、私の場合、自営業で、
かつ自宅をオフィス代わりにして仕事をしているので、基本的に時間については自由です。
ですから、朝起きるのもまちまちですが、だいたい、8:00AMから11:00AMの間ぐらいです。
前日の就寝時間に起因するところが大きいです。

起きるとまず、Eメールとスタッフルームのチェック。
スタッフルームとは、
離れて住んでいる相棒のジョシュア清水とweb上で共同作業ができるように、
セキュリティをかけたコラボレーション用の専用サイトを作っているのですが、
我々はそれを「スタッフルーム」呼んでいます。
そこでは、お互いの連絡事項の確認や、お客様からの予約や問合せ、スケジュール等の確認をします。
新規の予約やお問合せに対しては、オペレーションミスを防ぐために、
スタッフルーム内のPukiWiki上で、
チェックリストを更新します。
それから www.skymerica.com のアクセスログのチェックをします。

一段落ついたところで朝食。場合によっては既にお昼過ぎになっていることもあります。
このとき、タイマー録画しておいた早朝に放送される日本のニュースを
食べながらチェックしておきます。
食事は和食かトースト。半々ぐらいの頻度ですかね。

食後は、ちょっと運動。
調子がよければ少し外を散歩。もしくは室内で体操。
自宅オフィスにこもっての仕事は運動不足になりがちなので、
運動することを心がけています。でも、サボっちゃう日もあります。

ここからが本格的なお仕事時間。具体的には、午後1時とか2時とか。
この日は、設計・開発中の新しいテンプレートページを
HTML, CSS, PHP を使っていろいろいコーディング。
約2時間の作業で一段落としました。

ここで気分転換にシャワーを浴びてきます。
昼間のこんな時間にシャワーするのは、自宅オフィスの特権かも。
これは寒い夜にシャワー浴びるより、温かい昼間のほうが
湯冷めしなくて体にもいいし、ガス代も少し節約になるかな、という浅はかな考え。
これが、だいたい午後4時くらい。
後述の「夕方からお出かけのパターン」の場合は、この後その準備に取り掛かります。

さてリフレッシュしたところで、先ほどからの作業の続きが始まります。
この日は、たまたま結構テクニカルなことをやっていて
本来のエンジニアっぽい仕事でしたが、
実際はそれ以外の仕事、例えば、web上のコンテンツについての事前調査や
コンテンツの作成、web上で利用する写真の加工とかもやってます。
コンテンツ作成とは、具体的には「文章を書く」ということ。
これは私が学生時代に最も苦手だったことです。
それを今は仕事にしている、ということになります。
これをお読みの若い皆さん、今、苦手なことを将来やらざるを得ない、
ということはよくありますので、ご注意ください。

そうこうして午後7時ごろになると、スカイメリカの相棒、ジョシュア清水が
今日のフライトを終えてコナ空港から帰宅する車の中から私に電話してきます。
ハワイとカリフォルニアの時差が冬期は2時間(ちなみに
カリフォルニア州にはサマータイムがありますがハワイ州にはありません。
よって、夏季は時差が3時間になります。)ですので、ハワイの 5:00PM ぐらいです。

この電話では、スカイメリカの現在の懸案事項の確認や、新たな情報やアイデアの交換、
今後のストラテジ等について議論します。

起業直後はどこの会社も同じなのかもしれませんが、
いろんな構想やアイデアは湧き出てきても
限られたリソースでそれらを実現するのは容易ではなく
なかなか思うようには進みません。

しかし、離れた場所に居ながら共同作業・共同経営を行ってゆく我々にとっては、
お互いが直接会話することが非常に重要です。そして電話を終えるころには、
問題点の認識を一致させ、お互いを励ましあって、改めてまたやる気が戻って来ます。
電話を切ったら、やる気が失せないうちに、次の仕事に取り掛かります。

先ほどのジョシュアとの電話会議で挙がった事項について、
web上などで調査したり、その結果をスタッフルーム内のPukiWiki上に
新しいページとしてまとめて編集したり。

そうこうしているうちに午後9時、夕食。
もっと遅い時間になる場合もあります。

午前零時、この時点で、眠くなったら直ぐに眠れるように就寝準備をしておきます。
理由は、眠くなったのを無理して起きておくと、その後眠れなくなり、ますます、生活のサイクルが遅い時間帯にずれ込んでしまうため。
でも、実際は、午前零時過ぎからが仕事がはかどっている場合が多いです。

3:00AM。「寝よう」と思ったけど、夜の間、インターネット回線とPCを遊ばせておくのはもったいないので、
先日、相棒のジョシュアがアップしてくれていた、新たに取材したハワイ島のB&Bの写真ファイルを
サーバーからダウンロード開始。あとは寝てる間に勝手にダウンロードしておいてくれるでしょう。
明日の朝(昼?)、写真の内容を確認しよう、と言いながらベッドに向かう。

3:30AM。ベッドに入ってからは読書。
会社勤めのころは、コンピュータ雑誌や技術系の本ばかりを読んでいたのですが、
最近はビジネス書、成功法則・自己啓発本、マーケティング本等がほとんど。
具体的には、ロバート・キヨサキ氏の「金持ち父さん」シリーズ、
斎藤一人氏、神田昌典氏、小阪裕司氏、そして私の先輩にあたる稲盛和夫氏 等の
著書。

これらの本を読んでいて問題なのが、
読みながら「もっと頑張んなきゃ」と思い込んでしまい、
なかなか眠れなくなることです。

それから、本を読んでいると、新しいアイデアが浮かんで来て、
忘れないようにとベッドから飛び起きて、仕事部屋に戻って、
PCに向かってそのアイデアをメモる(タイプする)ことが
結構あります。
場合によっては、窓の外が明るくなってしまうまで
PCに張り付いていることもあります。

上記が典型的な「私の一日」ですが、番外編の「夕方からお出かけのパターン」として、
別なパターンを紹介します。

私はこのJTPAを始め、
シリコンバレー日本人起業家のコミュニティーであるSJVEN
JBC 等、いくつかのコミュニティーにボランティアとして参加しています。
これらのコミュニティーのセミナーや会合は、大体、夕方6時とか7時から2~3時間ということがほとんどです。
そういう日はだいたい前述のとおり5:00PMぐらいから出かける準備がはじまります。
私が食料の調達係りを担当している「JTPA技術交流会」の日には、もう一時間早く4:00PMぐらい行動を開始します。

これらのボランティア活動やコミュニティーへの参加は、
一日中家にこもっている私にとっては、外界の人々とふれ合える貴重な時間として、
得られることも非常に多く有意義なのですが、あまりやり過ぎると
時間がとられ過ぎてしまい、本業がおろそかになってしまいます。
その辺のバランスをいかにとるかが課題です。

最後に、日ごろも常々思っているのですが、
特に、こうやって「私の一日」を書くにあたり、
日常を振り返ってみると、時間の自己管理が非常に大切であり、かつ難しいことを痛感します。
上記の例は、結構理想的な日の例であり、実際は、なかなかこの様に無駄なく過ごすのが難しいのが現実です。
そのため、「一日の過ぎるのがなんと速いことか」と、ため息をつくことがしばしばです。

でも最近は、ため息をついた直後に「ついてる、ついてる」と言えるようになりましたから
マイナス思考だった私でも少しは成長しているのかな?
(「斎藤一人」氏の著書を読んだことのある方はおわかりですネ。)