アメリカの小学校」に対し、読者の方から自分のご家族の最近の経験をつづった、とても面白いメールを頂きました。ご本人の許諾を頂きましたので、内容の一部を皆様にご紹介したいと思います。


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『JTPAのコラム拝見しました。「I pledge allegiance to the flag…」のくだり、とにかくなつかしいっ!!で、一筆したくなってしまいました。私達一家が住んでいたのは村山さんのケース同様、日本人の住んでいない学区でした。国際色は豊かでしたが、それでもPledge of Allegiance の全員一斉唱和を毎朝教室でやってました。小学校だけじゃなく、タイガーカブ(ボーイスカウト)でもやってました。ただ、9.11テロ事件以後どこもかしこも熱心にやるようになったという話は聞いたことがあります。』
『感心したというか驚いたのは、あるときタイガーカブの会合の準備中、スタッフが星条旗を会場に運び込もうとしているところに出くわした息子は、反射的にかぶっていた帽子をサッとぬいだことです。おっしゃる通り、そういう感性が身についてるんですよね。』
『帰国後イラク戦争が開戦し、日本のテレビではホワイトハウス前からの中継シーンが頻繁に放映されました。テレビを食い入るように見つめる長男の横顔を見て、「彼にとっては星条旗もホワイトハウス前の風景もごくごく身近な存在、それだけに、米国が戦争をはじめたということは、遠い外国のことではなく、気が気でないんだろうな」と強く感じました。親にとっては、米国はしょせん母国ではない、何年か住んだ場所でしかありませんでしたが。』
『Show & Tell、これもなつかしいです。うちの学区では「Share」とか「Sharing time」と呼んでいました。自分にとってspecialなものをふくろの中に入れてヒントを3つ出し(大きさとか形とか色とか)クラスメートにそれが何かを当てさせ、そしてそれが自分にとってspecialなのはどうしてかをみんなに説明する、というものでした。村山さん同様、うちの子も日本ならではのものを持っていきました。』
『もうひとつ、ご紹介したいユニークなプログラムがありました。ワシントンDC郊外の公立学校の一部にはimmersion programと呼ばれるユニークな選択プログラムがあります。簡単にいいますと、mathとscienceを外国語で教える(授業中はその外国語しか使わない)というものです。』
『主な狙いは、英語以外の言語の発想を使いながら学ぶことによって複眼的な発想や思考ができる力を身に付けること、のようです。要は、外国語「で」学ぶのであって、外国語「を」学ぶのではない、ということです。どの外国語かは学校ごとに一言語だけ決まっています。これを小学校1年生にあがる時点で選択します。長男の行っていた小学校では四人に一人くらいの割合でイマージョンを選択していました。午前中はenglishとsocial studiesを英語で学び、午後はイマージョンのクラスへぞろぞろ移動してmathとscienceを外国語で学びます。』
『イマージョンのクラスはその言語を母国語とする先生が教えます。最初は、まったく言葉が通じないところからスタートします。先生は(もちろん英語もnativeレベルですが)生徒に対してはその外国語しか使いません。徹底してます。
そうそう、Pledge of Allegiance の全員一斉唱和でさえも外国語でやるんですよ。(イマージョンが日本語の学校では「ワターシハ、、、、チュセイヲ、チカイマス」とやるんです。)』
『学区のmiddle schoolにもhigh schoolにも同じプログラムがあるため、最長12年間同じ仲間とその言語で学びます。このプログラムがスタートしたのは1980年代だったとのことなので、最初の卒業生は社会人です。成果が出ているからプログラムがますます支持されているそうです。』
『感心したのが、学校がどの外国語にするか決めたその決め方です。
1980年代のプログラム発足時に、学区のコミュニティがそれぞれ話し合って何語にするかを決めたそうです。つまり、コミュニティが自分達で選んだわけです。
以来、どの学校もその外国語で一貫してやっています。スペイン語を選んだ学校、フランス語に決めた学校、いろいろありますが、日本語の学校も3校あります。これも、80年代に日本が元気だったことの恩恵かもしれません。』
『うちの学区は日本語のイマージョンをやっていました。アメリカ人のクラスメートが自分の母国語を積極的に学ぶ姿は、長男の目にはどのように映ったのでしょう。決して「日本にとってアメリカは偉大なリーダーだが、アメリカにとって日本はさほど存在感のある国ではない」などという感覚はないでしょう。米国の懐の深さを感じ入ったプログラムでした。』
『日本の小学校の話にうつります。帰国前に、なるべく帰国子女の多い学区をさがしたせいもあってか、長男の「変わった個性」?をあたたかく根気よく受け入れてもらっているようです。ちなみに編入先はマンモス校ですがいわゆる帰国子女が40人くらいいるそうです。その意味では、帰国子女の受入態勢の向上というよりは、いまやもはや帰国子女が珍しい時代ではなくなってきているのかな、と感じる部分が正直あります。村山さんが逆カルチャーショックを受けられた頃とはたしかに変わってきているのかもしれません。』
『Show and Tellとは違いますが、編入した日本の小学校でも人前で発表する時間を積極的に取り入れているようです。参観日を見た妻の話によると、声の小さい子や、発表内容に要領の得ない子は、けっこう厳しく叱り飛ばされているそうです。ただ、内容的にはやはりそこはまだ日本らしく多様性に乏しいようで、人と違ったことばかり話す我が子に妻は赤面したり誇らしく思ったりの繰り返しのようです。』
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アメリカの小学校」を執筆した村山尚武さんのコメント
「叱り飛ばされている」あたりが日本だな、と思わせるものがありますが、日本の小学校も色々取組んでいるようですね。また、とかくアメリカの教育は「異文化の存在をないがしろにしている」という批判をうけがちなのですが、ご紹介いただいたImmersion Program(こういうものの存在はこれまで聞いた事がありませんでした)の内容からすると、こちらはこちらで色々取組んでいるようです。
いずれにせよ、大変充実したフィードバック、ありがとうございました。私個人としては、異文化をバランス良く我がものとした息子さんの将来が非常に楽しみです。
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