アメリカでの車購入はネゴ慣れしたアメリカ人でも頭を悩ますもの。本稿は、編集会議での話し合いを元に、ネゴ魔人の異名を持つ編集長自らが熱を入れて原稿を作成したもの。ちなみに、編集会議参加メンバーの結論は「車購入の際は編集長をつれていくのが最強」でした。
以下本文です。
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アメリカで車を買うのは一苦労。日本のようにカーセールスマンが家々をまわるようなことも無い。自らディーラーを巡ってネゴをする。
最近インターネットの充実で車の本当の値段がわかるようになってきた。特にお勧めはCarsdirect(www.carsdirect.com)。車の定価(MSRP)と原価(Invoice)を見せながらも、その車が一番マーケットで「適正」な価格を示してくれる。例えば、リリースされたばかりの人気車ならMSRP以上の値段が付けられていることもある。Carsdirectを通して車を買うことも可能だが、やっぱり試乗をしてから買いたいのは本当だ。Carsdirectの値段をプリント・アウトして、「これに合わせて」と言って近くのディーラーに顔を出す手もある。 もちろんオーバーヘッドの小さいCarsdirectの方が値段が安いことがほとんどで、ディーラーによっては非常に嫌な顔をするところもある。
私の友人が使うのがKBB(www.kbb.com)。ここはCarsdirectよりも細かく、MSRPとInvoiceの値段を表示している。ディーラーは車の仕様を表示した「ウィンドウ・スティッカー」を新車に貼り付けることを義務付けてられいるので、そのウィンドウ・スティッカーを車から外し、MSRPとInvoiceの両方でKBBを参考にしながら車の仕様に値段を付ける。値段を付け終わると、彼は「利益いくら?」と聞く。そして、自分で計算した原価に彼らの求める利益を足して出す。人気車ならMSRPとInvoiceの中間。そんなに人気ないなら、$200程度の利益をつける。ネゴ終わり。
トレード・イン(中古車下取り)は特に難しい。一番正しいのは、個人売買で売ってしまうこと。ディーラーに持っていっても安く買い叩かれるのは当然。そのためにはCraigslist(sfbay.craigslist.org )を利用するのが一般的。個人売買にはさまざまなトラブルも付きまとうので、ある程度語学力などに自身がないと難しい。KBBの中古車価格のコーナーには、トレード・インする場合と、個人売買する場合の値段まで表示してある。これをディーラーに持っていって見せても、「こんなのウソ」と相手にされない場合も多い。基本的にはKBBでプリント・アウトしたトレードインの値段はは切り札だから、最後まで見せない。裏技だが、夜遅くだとAppraiser(鑑定士)が居ないことが多い。だから、セールスマンが鑑定をしなくてはいけないことがある。そこで高め高めに交渉する。
買う気満々で顔を出すと、もちろん足元をすくわれる。「トレードインする?」「じゃあタイトルはもちろん持ってきた?」と聞かれても、「No.でも家が近いから取りに戻れる」程度のウソをつこう。交渉が決定したら、「あ、持って来てた。」とカバンからタイトルを出す。タイトルを持っていることがバレたら向こうも強気だ。
最後の最後、契約書が仕上がって、内容に納得がいくまで、絶対にサインをしない。「買う」という一言も契約になるので、「じゃあ、契約書を見てみよう」といって、契約書を金額つきで書かせる。とくにローンするときなど、月払いの金額と総額が合わないことなどよく起こる。ファイナンシャル電卓を使いこなせる技術も必要。HP10Bとか見せると、向こうのローンオフィサーも目つきが変わる。契約書を見て、どうも金額が意味不明だった場合、ハードネゴをする方法もある。例えば、その契約書を隠してしまい、「どうも納得いかない。もう一度作り直せ」とか。その度に値段が変わることも。
車の売値だけがディーラーの利益とつながっているワケではない。メーカーからもボーナスのように成績によってお金を貰っている。だから、「Invoice以下で車を買ったぜ!」と自慢している人をみるが、それも不思議なことではない。ちなみに、月末が〆だから、ディーラーも成績を上げようと必死になる。雨のふっている、月末の日曜日の夕方が一番車の値段が下がりやすいと言われる。成績をなんとか決められたゴールに達成させるため、投売りをするケースも見られる。そのチャンスを逃さないようにするためには、やはりインターネットで値段をリサーチしておく必要がある。
最後に、本気で車を買う準備をしていくこと。よく冷やかしで顔をだす人がいるが、これはディーラーの時間の無駄、彼らの無駄にした時間が本気で車を買おうとしている人の車の値段に上乗せされる。
その他のこまかいtipsとして、
・女性の場合はVirtual husband/BFについてさらりと言及する。(女性=車のことはよくわからないと思われてカモられるリスクの回避。)
・男性同士でも、二人以上で行き、ひとりがネゴをしている隣でもうひとりがFinancial Calculatorを叩き、計算の合っていない箇所を指摘する。
・交渉の前はごはんを食べて、エネルギーをつけてから臨む。
・Trade-inはdealが全部まとまってから。閉店ギリギリまでdealを延ばして、最後に「あっ、そういえばtrade-inしたいんだけど」ともちかける。(これをやって「ワシは家帰りたいんじゃ!!」と相手が怒り出した、というケースもあり)
日々ネゴし続けなければならない社会も大変です。
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