みなさん、こんにちは。
2月26日に行われた矢部修さんのサロンのレポートです。
矢部さんはソニー・エリクソンを経て、現在はAppleで活躍されている、携帯電話の機構設計の専門家です。
ギークサロンには、私も含めてソフトウェアエンジニアが多く集まり、スピーカーもソフトウェアエンジニアのことが多いのですが、どうやらメカニカルエンジニアの文化は同じシリコンバレーでも結構違うんだな、というところが印象深かったです。
以下、心に残ったところをいくつか挙げます。


メカ設計者の仕事の範囲
メカ設計者の仕事の範囲は、私が思っていた以上に広く、部品の形状をCADに落とすことから、部品の材質、製法、この部品はどこの国のどこの町工場のあの技術で作ってもらう、といった決めごとまで担当するそうです。膨大な知識と経験が必要とされそうなことは想像に難くありません。
メカ設計では年の功が物を言う
実際に作って試してみた、という経験量が物を言う分野なので、必然的に年の功を積んだベテランエンジニアの方が強い、という世界だそうです。
だから文化的にも、日米問わず、体育会系傾向がある、とのこと。
ソフトウェアは年の功が必ずしもプラスに働くとは限らない世界なので、シリコンバレーのソフトウェア業界は体育会系とは真逆だなと個人的にいつも感じていますが、
仕事の性質がこのように文化に影響してくると言うことが興味深かったです。
アップル製品のメカはメカ屋の目からみてもやっぱりすごい
例えば、MacBook Proのユニボディーはアルミニウムのブロックを削りだして作ってありますが、これはメカニカルエンジニアの目から見ると革命的なことだったそうです。
削りだしの部品には大きな加工コストがかかるため、以前は冗談で「その部品は無理でしょー。ま、削り出しちゃえばできますけどね。ハハハ。」などという会話が見られたほど。
ところがアップルは生産体制などを工夫して現実にそれをやってしまいました。
こういった禁じ手的な斬新な手法をとることが非常に高く評価される雰囲気がアップルのエンジニアの間にはあるということです。
report by JTPAスタッフ 林秀明