プレーステーションでおなじみのソニーと、業界を代表するゲームソフト会社のカプコンとEA(Electronic Arts)から、第一線で活躍されている方々をお招きして「ゲーム業界の明日を語る」と題したパネル・ディスカッションを開催しました。


<セミナー概要>
法政大学アメリカ研究所のセミナールームをお借りして、ゲーム業界の第一線でご活躍の御三方による白熱したパネル・ディスカッションが行われました。
途中、米国内発売前のソニーのPSP(PlayStation Portable)を大型スクリーンに映しだしてのデモも行われ、会場からの関心の高さが伺われました。
このセミナーには、50名を超える方々のご参加があり、中でも、「鹿児島大学シリコンバレーツアー」としてシリコンバレー訪問中の鹿児島大学の学生と教職員の方々17名も参加されていました。
ここでは、鹿児島大学の皆さんのシリコンバレーツアー・レポートの中から、このゲーム業界セミナーに関する部分を抜粋して掲載します。

中野 敦 (鹿児島大学 ナノ構造先端材料工学専攻)
ゲーム業界(ソニーコンピュータ、カプコンスタジオ、エレクトロニックアーツ)の方々によるパネル・ディスカッションだったが、少しマニアックな展開だった。これから留学したい、働きたいという学生向けではなく、すでに米国で仕事をしている方々に参考になるセミナーだったような気がする。ゲームが完成する過程における日本とアメリカの制作の違いなどについてでは、文化の違いによる相違があり、双方に良し悪しがあると感じたが、自分には、日本式の「人」ありきの方式に比べ、米国式の「担当」「責任」を明確にする方が合っていると感じた。また、技術者の職種が、各分野の多種多様な専門家に渡るという点やゲームに関わったことのない人材まで参加するという点に業界の違いを感じた。

佐藤 昌紀 (鹿児島大学 ナノ構造先端材料工学専攻)
このセミナーはゲーマーにはたまらなかった! 3人の講師の方々(吉田さん、関根さん、橋本さん)が作られたソフトは大概やったことがあったので、非常に面白かった。アメリカと日本のゲームの差は大体知っていた。カプコンは最近ではデビルメイクライ3が好調だが、シリーズ1に比べるとかなり自由度があり爽快感が増したといえる。EAスポーツはあまり趣味ではないが、橋本さんはスクウェアにもともといて、そこはあの有名なFFシリーズを生み出したところであり、お話が聞けて光栄だった。僕が好きなシリーズは、FF6、7、9、10であり今春発売のFF12にも注目している。そして、グランツーリスモの開発に携われた方にお会いできてこれもまた感激だった。グランツーリスモはシリーズ1からプレイさせてもらっているが、シリーズ3は完璧に近いといえる。さらに4は映像、機能性、コースともに向上していたがただひとつエンジン音が3に比べて上品になりすぎており、車体が軽く感じられてしまった。このことは吉田さんに伝えた。ゲーム業界はものすごい勢いで発展した。ヒットする可能性が製薬業界よりも高い気がしてなんかくやしい。このセミナーではアメリカのゲームと日本のゲームの違いをあげており、もともとアメリカと日本のゲームの差は大体知っていたが、特に面白かったのが、開発の段階でアメリカではまずはじめにゲームの本筋を立ててそれに必要な人材を確保するのに対し、日本ではまずどういう人材がいてその人材で何ができるかを考えるといったように、全く逆になっていることだった。これによりアメリカでは仕事が細分化され一人がひとつの仕事、日本では一人がいくつもの仕事を行っているようである。最近では倫理観のないゲーム(殺し合いなど)が大量に出回っている。当然ゲームは子供の成長に大きな影響を与える。これからのゲーム業界は自分たちの影響力の大きさを常に自覚すべきだと思う。話は変わるが、ゲーム業界ではどのようにして女性にゲームを浸透させるかが問題になっているらしい。女の友達曰く、ゲームという情報にふれあう機会がないらしい。もちろんみんなでできるパーティゲームも普及策のひとつだが、女性週刊誌と契約して宣伝をするのもいいのではないだろうか。最近のゲームは画像もよくゲームによっては映画の楽しみを兼ね備えているものも少なくないので女性にも受け入れやすくなっているはずだ。もちろんまた日本とアメリカでは戦略が異なる可能性は高いと思うが・・・。

柿内 茂樹 (鹿児島大学 ナノ構造先端材料工学専攻)
車で法政大学に向かった。パネラーの方々はソニーエンタテイメント・アメリカの吉田修平さん、カプコンスタジオンのトム関根さん、エレクトロニックアーツの橋本さんだった。後で聞いた話ではあるが、ソニーの吉田さんとエレクトロニックアーツの橋本さんはTVやマガジンの漫画にも出てくるぐらいすごい人だった。そんな人が目の前にいて話をしてくれているなんて、全くきづくことも無かった。途中うつらうつら眠ってしまって申し訳なく感じた。アメリカ、日本の文化の違いからどうやって日米の感覚の共存を生み出すか。プロフェッショナルな目で売れる売れないを判断する話だった。日本はゲームという大きな強みを持っていて、それをアメリカで生かすにはどうしたらいいか。真剣に考えるととても奥の深い話だと思う。

東郷 雄喜 (鹿児島大学 生物環境専攻)
・レクチャー内容  アメリカでのPSP販売について・ゲーム作成の流れについて。
・気づいたこと  法政大学はシリコンバレーに良いブランチオフィスを持っているなーと思いました。
・自分なりに思ったこと感じたこと  自分としてはテレビゲームに関心があったので、楽しくセミナーを聞くことが出来ました。普段聞けないゲーム業界のこともいろいろ聞くことが出来て非常に有意義な時間をすごすことが出来ました。
・知識として得たこと  グランツーリスモがアメリカと日本の両国で売れたのは、多国籍で一国意識にさせない企業戦略があったかららしい。現在でもポケモン、ドラゴンボールは売れ続けているらしい。

吉留 敬太郎 (鹿児島大学 ナノ構造先端材料工学専攻)
このセミナーはかなりマニアックでした。ゲームをしてない人間からしてみたらとても、何を言っているのか理解不能なところが多かったですね。ゲーム業界の裏側というモノは知りたくても知れない領域なのでとても良い経験だったと思います。セミナーの話題に出てきた、女の子はゲームに興味がないと話があったとおり、女性達はあまり興味なさそうでした。

津城啓子 (鹿児島大学 水産学専攻)
話が大変マニアックであまり理解できなかったので私が興味を持った所を箇条書きにしたいと思う。 
・ゲームソフトを作る人を雇う場合、お客さんの気持ちをつかむことができる人を雇う。
・日本とアメリカでは表現の仕方が異なる。日本のゲームをアメリカにそのものまま持ち込み販売しても売れない。
・表現力が向上した結果世界共通のゲームを作ることができなくなった。 

遠矢良尚 (鹿児島大学 生命化学専攻)
私はあまりゲームをしないので、このセミナーはついていけるか不安だったが、話に出てくるゲームはどれも知っているものばかりだったので、かなり感動した。PSPのアメリカ発売前のセミナーとあり、アメリカと日本の違いやPC業界との違いについてのディスカッションがあった。ソフト会社とハード会社の関係はPC業界とゲーム業界では全く異なり、ゲーム業界ではソフト会社がハード会社にライセンス料を払うらしい。アメリカのゲームと日本のゲームはいろいろなところが異なるため、日本で成功したからアメリカで成功するとは限らないといっていた。関根さんもアメリカでしかソフトを作ったことがないらしい。最後に、私たちがゲーム業界にはいるためには?という質問に‘ゲームをやりまくれ!’と答えてくれた。いい業界だなと感じた。

冨田美涼 (鹿児島大学 情報工学専攻)
このセミナーはJTPAが主催のセミナーに参加させていただいた形だったこともあり他の「鹿児島大学シリコンバレーツアー」のセミナーと一味違った。内容としては私がITに興味を持ったきっかけにもなったゲームについてだったのでとてもおもしろかった。ただゲームを普段やっていない人には難しい内容だったに違いないと思う。PSPを作ったソニーエンタテイメント社は就職も考えていた会社だったので興味津々だった。このセミナーのメンバーは本当にお会いする、話をきくことは中々ないと思うので貴重な体験だった。海外で売れるゲームというものが違うのも文化の違いであり、企業はそれを知りつつ戦略を練っていくということがよくわかった。

水戸大輔 (鹿児島大学 情報工学専攻)
情報系でありながらゲームっ子ではありませんでしたのでゲームについての内容はあまりわかりませんでしたが、周りの参加者の方々の白熱振り・興奮振りにはゲームの力の偉大さを認識させられました。話しの中身はゲームが出来る過程等についてで、これはどの産業にも当てはまることだと思ってじっくり聞かせていただきました。やはり現実はきびしい様です。物が売れるか売れないか・飽きられたら終わり。その前に商品にしていくまでの企画立案から本体の承諾までのハードルなど、いかに先を見すえての行動が必要か再認識させられました。

上谷 昌稔 (鹿児島大学 ナノ構造先端材料工学専攻)
ゲーム開発業界についてのセミナーを聞きました。自分は子供のころはゲームばかりしていたので、大変興味深く聞かせていただきました。まずはじめに、ソニーエンターテイメントコンピューターの方は、なんとグランツーリスモやサルゲッチュを作った人でした。かなりの有名作品だったので、思わず声が出てしまうほど驚きました。よく見てみるとゲーム雑誌にも出たりする方だったので、驚きと興奮でいっぱいになりました。次の方がカプコンに勤めていてマキシモを製作された方でした。このゲームも知っていたので、またまた驚いてしまいました。そして次の方は、EAスポーツの方で、昔はスクウェアに勤めておられた方で、FFの映画を手がけた方でした。この方も雑誌で見たことがある方だったので非常に驚きました。とにかく、このセミナーを聞いて一番思ったことは、大人がゲームのことに関してこんなにも熱く楽しそうに話しているのを見たのは初めてだったので、驚きと嬉しさでいっぱいになりました。久しぶりに、真剣な場で子供心に戻って話を聞くことができたなぁと思いました。個人的には、ゲーム業界の縮小などについては、すべて知っていたし、自分なりに考えていたりしていたことだったので、「鹿児島大学シリコンバレーツアー」のセミナーの中で一番簡単に理解できたセミナーでした。

佐藤 貴彦 (鹿児島大学工学部情報工学科)
ゲーム産業といえば子供は,特に男の子は一度は憧れるものじゃないでしょうか? そういった業界の方々のお話を直接聞くことができて、とてもおもしろい時間でした.ゲーム業界のことについてという,今回の「鹿児島大学シリコンバレーツアー」のセミナーの中では異色のお話でしたが,それでもその中に,日本とアメリカの違いなど,様々な違いがあることを知りました.アメリカのゲームは日本では売れない.確かにそんな気がします.パソコンのゲームなどアメリカのゲームをしたことがありますが,おもしろいと思ったゲームはほとんどありません.特にグラフィック面が受け入れられないです.また日本のゲームがアメリカで売れるかと言ったら,例外はあるものの,やはりほとんど売れない.これらはゲームに限らずあらゆる商品に当てはまるのではないでしょうか.自分たちが専門とするIT産業は比較的格好の格差が少ないものの,やはりニーズの違いという物が存在していると思います.逆に今まで格差の少ない部分を多く見てたから,今回ゲームについてのお話を聞き,改めて思い知らされた感があります.

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以下は、案内時の紹介文です。
ゲームができるまでにはどんな人が関わっているのか?ゲームを支える技術は何か?これからのゲームはどうなっていくのか?
日本が誇るゲーム産業に興味のある方は、ぜひご参加下さい。
なお、日本では既に先行発売され話題を呼んでいるSonyのPSP(PlayStation Portable)を当日はパネリストの方がお持ちくださいますので、アメリカの発売予定日3月24日前に見ることができます。

共催: 法政大学アメリカ研究所
日付: 2005年 3月 15日 (火曜日)
時間: 18:30 – 21:00
場所: 法政大学アメリカ研究所
800 Airport Blvd. Suite 504 Burlingame, CA 94010
www.huric.org/j-officeLocation.html
www.huric.org/2huric.doc

パネリスト
■関根 Tom氏: Chief Operating Officer, Capcom Studio 8
■橋本 和幸氏: Vice President of Technology, New Platforms, Electronic Arts
■吉田 修平氏: Vice President of Product Development, Sony Computer Entertainment America
 
このパネル・ディスカッションでは、ゲームに関する基礎知識からはじまり、プラットフォーム提供会社とソフトウェア会社の関係といったゲーム業界の構造、ゲーム業界における最新技術、業界を支える人材、今後の展望等について熱く語っていただき、将来のゲーム業界の行方を探ってゆきます。
また、内容がゲームに関することですので、今回は特別に次世代を担う小中高校生の若い方々に参加いただけることとしました。ただし、参加は父兄同伴に限ります。
年齢の下限は特別に設けませんが、セミナー参加の他の方々に迷惑をかけないことを基準とし、その判断はご父兄の方にお任せます。
なお、このディスカッションは日本語で行われます。
●会費:(軽食付き)
一般   3月12日以降のお申し込み 15ドル
     3月11日までのお申し込み 10ドル
賛助会員 3月12日以降のお申し込み 10ドル
     3月11日までのお申し込み 5ドル
小中高生 無料(但し、父兄同伴に限る)
●進行:
18:30 受付開始。 (軽食がございます。)
18:45 法政大学アメリカ研究所所長 清原先生ご挨拶
19:00 パネル・ディスカッション開始
20:30 パネル・ディスカッション終了。以後ネットワーキング
21:00 終了・解散
●申し込み:
以下のいずれかの方法でお申し込みください。
1. Paypalを利用する場合
www.paypal.comにて、pay@jtpa.org宛に上記の金額を送金して下さい。
送金の際(Send Money画面)、下記の通りに御記入願います。
Recipient’s Email: pay@jtpa.org
Amount : 上記金額
Currency : U.S. Dollars
Category of Purchase : Service
Email Subject : Seminar 03/15
Note : ご出席の人数
#e-mailをセミナー事務局にお送りいただく必要はございません。もし、2,3日中に確認のメールが seminar@jtpa.orgより返信されない場合は、seminar@jtpa.orgにメールでご確認下さい。
2. メールのみで申し込みする場合
タイトルをSeminar 03/15、本文にお名前、所属、ご出席者人数を明記の上seminar@jtpa.orgまでe-mailにてお申し込み下さい。FeeはPaypalにて後日送金、もしくは当日お支払い下さい。
# 03/12以降の送金は割増料金($15、賛助会員は$10)となりますのでご注意下さい。
●会場の都合上、定員(50名)に達した時点で申し込みを締め切らせて頂きます。ご注意ください。