【編集部より】
シリコンバレーで就職活動を体験された読者(匿名希望)の方から「ここまでの活動で得た事、感じた事をひとつの体験談として皆さんと共有したい」とのお申し出があり、以下のエッセイを頂きました。
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JTPA共同代表の村山さんに就職活動の経験をまとめるのも良いのではと勧められたので、ベイアリアでの私の幾つかのソフトウェアエンジニア職へ応募した経験からいくつか印象に残ったことを挙げてみたいと思います。
■会社側の不可解な言動
振り返えると、残念ながらいい加減な人に遭遇することも多く精神的に消耗したことがまず思い浮かびます。まさかこういったことは幾らなんでもしないだろうと想定しているその上を行く対応をされ、腑に落ちない気分でその後暫く過ごしてしまう事が良くありました。
具体例を挙げると、ある新興半導体企業の採用担当責任者は、私が彼が補充したい職種の候補者である限りは本社面接の後もこまめに連絡をくれたりと丁重だったのですが、一度採用しないと決めるとその連絡を人事部に押し付け、知らんぷり。
また別の会社の採用担当責任者は内々定を出す際に私が計算機科学の講義を大学、大学院で受講していない事を指摘し年収を低く提示することの正当化しようとしたり。
企業の知名度や規模と不可解な言動にはあまり相関はなかったよう思います。結局どういった個人と話をするかなのでしょう。
■履歴書・レジュメの有効性、事前学習
履歴書を単純に会社に送ることはそう効率の悪いことではないと思います。会社の計算機システムに自分の情報を入力する形となって、その後忘れた頃にリクルーターが連絡をして来たことが何度かありました。カバーレターについては添付が有用な会社、そうでない会社があると思います。
ここ最近の自分の活発さ度合いを履歴書の送付回数で測ると、200通程度を様々な会社へ電子的に送り、そのうち10件ほど採用担当責任者またはリクルーターと電話で話すことが出来、さらにその中から本社での面接まで漕ぎ着けたのが5件ほどだったと記憶しています。
電話ではまず会社を調べ興味を持った事柄を中心に質問し、かつ自分の良さを積極的に理解してもらうよう努めると相手にも喜んでもらえて会話の中で是非会社で会いたいので日を決めようと言ってもらえることが多かったです。
■面接の実際
本社での面接ですが、半日を費やして採用担当責任者による会社、職種の説明から始まって将来一緒に働くであろうと人達と会う形式が殆どでした。プログラムの問題を延々とホワイトボードに向かって解くことを要求されるものもあれば、ごく自然に今まで経験とこれからの抱負を話したりと様々でした。
大手インターネット検索企業での本社面接であったことですが、プログラミングに関する質問に対する自分の正しい答えを自信をもって否定されたことがありました。
スタンフォード大学でコンピューターサイエンスで博士号を取得した若きCTOに電話でテストされたことがありましたが、その時は簡潔だけれども応募者のプログラミングに対する理解度を測ることの出来る適切な問題設定しているとの印象を持ちました。かと思うと、別の会社では同じプログラミングの質問でも、そもそもそんな状況にまともな人だったら陥らないでしょうといった類の瑣末なものもありました。
その後、普通は翌日くらいに面接を実施した人から意見を聞いて採用担当責任者が決めて連絡をするのだと思います。しかしこの段階で会社によっては本当にいい加減な対応をされることもありました。そうした経験から会社まで人を呼んでおいて気に入らなかったからと知らんぷりを決め込む、のらりくらりと決定を先延ばしにするような組織は早々に見切りをつけるのが最善だと学びました。
先に述べた事と重複する形となりますが、連絡すると約束して連絡してこない。選考の結果を問い合わせると「明日までに決める」と説明されそれが三回繰り返されたこともありました。
■英語は武器?
最近ある日本の大手企業の採用担当の方を話すことがあったのですが、自分を「英語に非常に堪能と」表現するとすぐさま「それだけでは仕事は出来ませんからと」たしなめられ、複雑な思いでした。
つまり、日本で好まれる自己PRは根本的に一体何なのだろうと。「C言語が誰よりも出来ます」と言っても「他の同僚と協業出来ることが重要ですからね」とか。出鼻をくじかれる思いでしたが、腹蔵された真意を探る必要のある、あぁこれが自分が何十年も置かれてきた文化なのだと鮮やかさを持って感触が蘇った瞬間でした。
■ビザは出るもの?
外国人として直面するのは当然アメリカ国内で合法的に働くための資格を得ることが出来るかの問題ですが、募集されている職種に自分が他の候補者を差し置いて最も適切であれば、日本円にして数十万円の弁護士、書類費用がかかっても採用するという企業が多いと思います。
私もこれに関しては優秀なソフトウェアエンジニアのベイアリアでの収入が10万ドル程度と思い切って仮定すると確かに誤差の範囲になると納得しています。もちろん発行数の上限もあったりと、非常に複雑だという事実はありますが。
■おわりに
まだ活動中ではありますが、これまでのところ村山さん始めJTPAの皆様には大変お世話になりました。またいくつかのJTPAのセミナーに参加することによって勉強することが出来ました。厚く御礼申し上げます。
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【編集部より】
貴重な経験談をお寄せ頂き、ありがとうございます。
今回のように、読者の皆様でシリコンバレーでの就職活動、転職活動そして生活関係で「自分の体験談を皆と共有したい」「自分にとって役立ったこと、注意すべきことを他の人にも伝えたい」という方がおられましたらeditorial@jtpa.orgまでぜひご連絡ください。同一のトピックで複数の方からのお申し出がございましたら、覆面座談会を開催することも検討します。
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