日本で習った英語と実際に米国で使う英語とは全くの別物です。JTPA編集部では、英語の面白い表現や、変わった表現などについて座談会を開きました。ご意見、感想などお送りください。


■No Exceptions Takenでバンザイ
文書の承認を協力会社にお願いしたところ、「No Exceptions Taken」と書かれて文書が戻ってきた。「Approved」とか「Not Approved」なら分かるが、「No」 Exceptions Takenでは良く意味が分からない。同僚に見せると、「良かったじゃん」というので、どうも承認されたらしい。日本語に戻すと、「例外を認めず」つまり、提出された書類が「そのまま」承認されたということ。ちなみに、文書に訂正がされている場合、「Implement Exceptions Noted」(訂正の通り実施せよ)となる。
■Double Negativeの謎
二重否定を一文に使うと、肯定文になると学んだ。つまり、「I don’t think you are not Japanese.」といえば、「あなたが日本人じゃないワケないでしょう」、つまり「あなたは絶対に日本人でしょう」となる。しかし、日常でよく聞くDouble Negativeには「I don’t know nothing.」というのがある。二重否定の文法を使うと、これは「私は何でも知っている」になってしまう。実は、これは強調のための二重否定なので、「私はなーんにも知らないよ」が本当。加えると、「I don’t know nothing.」とは俗っぽい使い方なので、ブルーカラーの人達の間でよく使われる。普段の会話では「I don’t know anything.」を使うのが妥当。
■同意のためのYes/No
「This color is not blue.」(この色は青じゃない)に同意するときは、Noを使うのが正しい文法。つまり、文章に合意する必要があるので、Noとは文のNotにかかっているわけ。では、相手が「I don’t think this color is blue.」といったら、Yes Noのどちらで対応したらいいの?一番硬い答え方が、「No, this color is not blue.」 とフル・センテンスで答えること。「Right」「Agreed」「Correct」と相手の意見に合意を示す単語も利用価値大。
■色々な意味で使える「Get」
バスケットボールをやっていると、Getという簡単な単語を使った表現があちこちに。簡単な単語は色々な意味に取れるので、一瞬意味がわからず戸惑うことも。「彼を追いかけろ」には「Get him」。「こいつをマークしたぞ」は「Got him」。「ガッチャガッチャ」と聞こえるのは、「I got you, I got you.」の俗な言い方。相手の言っている意味が分かったり場合に使うが、バスケットボールという状況下なら、「マークしたぞ」とでもなるのだろうか。
■西海岸の英語
西海岸の英語は東海岸と比べるととてもカジュアル。映画の「Legally Blond」では、西海岸育ちのギャル風の主人公がいわゆる西海岸英語を東海岸で連発して白い目で見られる。例えば、「like」やたら文に混ぜて話してみたり。「like」とは「のようなー」という意味合いがあり、文章に曖昧な響きを加える。「I was like so upset.」など、別にLikeが文法的に必要なくても挿入されており、「私はすごい怒っっちゃてー」というような感じになる。「He said “I don’t care.”」の代わり、「He was like “I don’t care.”」というデタラメな使い方もする場合も。
加えて、「R」の発音が強いのは東海岸の上流階級の英語によく見られること。Rを無理やり足して発音する単語さえある。例えば、Ideaも、「i-dir」とさえ聞こえる。
■Not Acceptableは強烈な否定か?
Not Acceptableとは「受け付けられない」と直訳出来るが、実際にこれは非常に強い否定を表す。例えば、返事が随分と遅い協力会社に「This level of response is not acceptable.」とE-mailを書いたところ、これを読んで怒った協力会社の社員は、これを私の上司に転送してしまった。おかげさまで私は自分の上司に一時間もこっぴどく怒られることに。とくに契約関係の中で、相手に「Not Acceptable」を使うと、これは相手の仕事が契約不履行だという非難につながり、この一言が契約関係のトラブルを起こすことも多々。
逆に、社内ではやたら「Not Acceptable」を使う人も多いという体験のある人も。社風も関係するのだろうか?
(参照:シリコンバレーで働いて気づいたEメール利用・暗黙のルールの「厳しいことを書かない」https://www.jtpa.org/column/000095.html
■At/To
相手に(被害を与えるため)石を投げつけるのは、I throw a stone at him.なのか I throw a stone to him.が正しいのか?文法的にはI throw a stone at him.が正しいはず。At, to, with, on, uponなど助詞の使い方はネイティブでもないと分からないのが悔しいところ。実際に日本語の「へ」「に」と近い文法なので、米国人でも助詞の使い方が曖昧な人も多いくらい。わたしの近所の米国人には、I throw a stone to him.と言い張る人までいる。自分の身内や、いつも一緒に仕事をしている米国人の情報を信じてしまいがちなのは、日常英語を学ぶ上で一番危険なこと。
■Tall iced latte かIced tall latteか
トールサイズのLatte(エスプレッソをミルクで割ったもの)を頼もうとして、Tall iced latteと頼んだところ、Iced tall latte?と言い直された。文法上のヒエラルキーなら、サイズが一番上にくるはず。Princeの昔のヒット曲もLittle Red CorvetteでRed Little Corvetteではない。コーヒー屋の店員に聞いても、理由はわからないけれど、Iced tall latteが正しい使い方だと言い張る。
その後、店員の立場になって考えてみると、まず、オーダーを受けたら、最初にカップを選ばなくてはいけないことに気がつく。まず、アイスかホットで、プラスチック・カップか、紙コップを取らなくてはいけない。最初にIcedを付ければ、コーヒーを用意する店員は、まず最初にプラスチック・カップの棚に手を伸ばして、サイズ選びをすれば良いということになるのでは?つまり、Iced tall latteとは業界用語ではないのか?
■ベビーシッター
日本語の新聞に、ベビーシッター(親の留守中に赤ちゃんの世話をする仕事)をしたいという広告が出ていた。在米12年で英語も教えることが出来るとのこと。しかし、その広告には、英語で「Baby Shitter」と綴ってあった。ちょっと不安・・・・
■見出し英語を使おう
フセインが捕らえられた次の日、新聞の見出しは「GOT HIM」だった。つまり、「We Got Him」を略した見出し英語である。会議などで皆の意見などを黒板などに書くときも見出し英語が早いので使いやすいはず。しかし、日本できちんと文法を習った日本人にとって、見出し英語に普通の文章を「崩す」のも大変な作業なのである。例えば、「この文書は手直しされている」という英文はThis document has been revised.といったフル・センテンスになる。これが見出し英語ならDocument revisedとなってしまう。どうしても受身文についてキツク教育を受けた私は、Document being revisedとbeingを足してしまいがちだ。後々で会議の議事録を見ると、自分の書いた議事録だけやたらbeingがあちこちにある。文法的に正しくてもやっぱり見ているとオカシイ。
■アメリカでよく使われるが日本で使われない用語など
「この家はTurnkeyだ」というと、すぐに住める状態であることを示す。つまり「鍵を回すだけ」という意味は、完成されていることを意味する。家だけに限らず、Turnkeyは商品が完成され使用に適している状態などにも利用する。
OTDはOut to Doorの略語。「ドアから出る」というのは、商品が店を出るときの最終的な価格のこと。つまり商品の価格が、税金や手数料、全てを含んだ状態のことを言う。自動車を買うときなど、ディーラーは手を変え足を変え値段を曖昧にするので、「じゃあOTDでは?」と聞けば、相手はこちらが最終的に小切手に書く金額を言わなくてはいけなくなる。ちなみに、ディーラーでは頭金のDown Paymentを「Down」を略する。
FYIはFor Your Informationの略。相手に特に返事を求めていない連絡の時に使う。
RSVPはRespondez s’ll vous plaitの略。フランス語の用語で、「返事をしてください」という意味。招待状などに「RSVPをXX日まで」という具合に使う。s’ll vous plait自体がPleaseという意味なので、Please RSVPという使い方は間違い。
■米国人も混乱する英語
Affectは影響(特に悪影響)を及ぼす意味があるが、Effectは何を自分のおかげで成し遂げるという意味がある。発音が近いせいか、米国人も混乱して使い間違えることが多い。時々、「Affectだっけ?Effectだっけ?」とネイティブスピーカーである米国人に聞かれるとさすがにムカツク(?)
■Crazy
クレージーというと、気が狂ったという意味があるが、ちょっと変なことがあると米国ではすぐこの単語を使ってしまう。例えば、「今日は一日どうだった?」と聞くと、ものすごく忙しい一日だった場合、「It was crazy」と答える。わき目もふらず、感情的になってがむしゃらに働く彼をHe was going crazyと表現することも。「He drives us crazy」と言えば、彼は私達を困らせるという意味合いになる。
■便所
Restroom, bathroom, powder room, lavatoryなど、便所を示す単語が多い。Powder roomは英国で良く使われる。飛行機の中はなぜかlavatoryが使われる。数十年前、まだ日本人にとって海外旅行がここまで一般的になる前、とある地位の高い日本人が飛行機にはじめて乗って米国に来る事になった。彼は便所に行きたくなり、便所らしき部屋の扉の前までいったが、lavatoryという単語をなぜかlaboratory(研究室)と勘違いしてしまい、米国に着くまで便所に一度もいけなかった、という話があった。英語に自信が無いため、誰にも質問できなかったというのは分かるが、なぜ飛行機に研究室が並び、そこに乗客が次々に入っていくのかという疑問が彼には起きなかったのだろうか?
■Throw Away
Throw Awayは直訳すると「投げ出せ」。実際には、ゴミを捨てるとか、アイデアなどをあきらめるという意味もある。相手が「手にもっているものを『捨てたら?』」という意味で「Throw Away」と言ったのに、思いっきり放り投げてしまったことがある。
2004年1月5日