今回のギークサロンは普段と趣向を変え、スタンフォード大学に在学し研究者の道を歩む学生・ベイエリアで会社を興した20代起業家をお呼びして、彼らがそれぞれの分野で何をしているのか、何を考え、成し遂げようとしているのか、また、後半は会場から質問受けるパネルディスカッション形式でのトークとなりました。以下、Sunny Tsang氏によるレポートをお送りします。
■ 20代の若者たちが語るアカデミア&ビジネス最前線。
各人の発表を以下にまとめました。各名前の横にUstreamで残してあるアーカイブビデオ(http://bit.ly/cA2mUe)の時間を示しておきました。参照ください。
UStream: http://www.ustream.tv/channel/jtpa-geek-salon
– 石綿整さん(1分50秒より)
石綿さんは、小さいころの身近な経験から物理に興味を持ちそれを理解する楽しみから始まり、後に、父親の仕事の関係から興味を持った半導体の応用の広さに感動され、半導体産業の起源をたどる過程でシリコンバレーとその中心となるスタンフォード大学に興味を持ち始めたそうです。ダイヤモンドという普段は宝石としか考えられていないモノに、熱伝導率や堅さなど実は物理的に優れた特性もあることを紹介され、それを用いて熱の溜まりにくいデバイスや、半導体が作る0と1の状態を電子のスピンやDNAの固定など、新しい物理的な意味と結びつけるプラットフォームとしてのダイヤモンドの面白さを話されていました。最後にはダイヤモンドイドというダイヤモンドのナノ化合物を利用した電子のエネルギー幅のコントロールとそれを用いた電子顕微鏡の解像度の向上も紹介してくれました。締めくくりとして、自分の将来の夢を語り、自分の好きな物理の理解と新しい材料を用いて、日本で産業と結びつく教育を促進したいと話されておりました。
http://arpes.stanford.edu/personnel_grad.html
– 郡司まりかさん(12分20秒より)
郡司さんは、小さい頃に抱いた、日本以外のところに行きたいという願望から、慶応義塾大学理工学部卒業後、Stanford大学に移られました。同大学では、高移動度半導体材料、高誘電体絶縁膜など半導体プロセス関連の研究をしています。ナノマテリアルという領域を選択し、スタンフォード大学を志望した理由として、同大学では実験室間の敷居が低いことをあげ、マテリアルサイエンスとは何かという説明から、ナノとはどれくらいの大きさなのかという話に入りました。また、ナノテクノロジーの現在、応用されている分野の紹介、またバイオロジー分野とのコラボレーションによる今後の展開、将来性を含め話され、どれだけ魅力のある研究分野なのかと熱く語っておられました。
http://www.linkedin.com/pub/marika-gunji/7/4ba/103
– 宮崎勇典さん
灘高校卒、東京大学教養学部理科一類入学。一度は建築学科に進むも、よりサイエンスをと薬学部に移られたそうです。専門分野のChemical Biologyの中心であり、また世界の動きを知る良い機会としてアメリカの大学院進学を決意。最も自由度が高く、シリコンバレーを中から感じようとスタンフォード大学大学院を選択し、2009年9月よりSchool of Medicine PhD programに在籍しています。研究対象であるタンパク質を、「見る」そして、「操る」という2つにわけて分かりやすく解説されておりました。また、研究による実際の実社会への応用可能分野の説明への話もあり、最後に自分が主催している米国大学院留学会(UT OSAC)の熱い想いを語っておられました。
http://stanford.edu/~miyuten1/
http://www.ut-osac.org/
– 久保渓さん(33分30秒より)
久保さんは、Carleton大学をPolitical ScienceとComputerScienceのダブルメジャーで卒業し、クラウドベースでオートスケーリングなウェブサイト向けホスティングサービスを提供するfluxflexをサンノゼにて起業されました。サーバーやインフラをユーザーが自分達で準備することなく、ワンクリックでテスト用サーバーと数百台までスケールする本番環境用サーバーを利用することが可能で、この仕組みを自動化することで、ユーザーのサーバー管理の時間、手間、お金を削減できるホスティングサービスを目指しているそうです。現在はサンノゼで活動し、テストユーザーへ向けた限定的なサービス提供を行っていて、同時にエンジェルラウンドも進行中だそうです。
http://www.flexflux.com
– 船木信宏さん(41分45秒より)
慶応大学SFC卒業後、日本でスタートアップの創設やフリーランスでの開発経験を経て、2009年シリコンバレー現地にてSmashBooth(CA, San Jose)を設立しました。事業としてはお金を必要としてる気持よく使いたい人々のマッチングをするクラウドファンディングを広めるSenzoo.comというウェブサービスをやっておられ、また、今後の展望としてお金以外でのドネーションを慕える方法を画策しているのことでした。
http://www.senzoo.com
– 近藤誠さん(50分15秒より)
東京大学経済学部卒業後、スタンフォード大学に入学。修士2年に在席しながら、オンラインドキュメント管理システムを展開するEvernoteにインターンとしてBusiness Development Divisionに在籍。役割として、Evernoteが他社と連携にあたって交渉などをしているそうです。また、現在のEvernoteのユーザー数推移などを含めた現状報告と今後の展望を話されておりました。
http://www.evernote.com
■ ディスカッション
各人の分野の発表に続いて、会場から質問受けるパネルディスカッション形式でのトークがありました。以下があがっていた質問です。各質問の横にUstreamで残してあるアーカイブビデオ(http://bit.ly/cA2mUe)の時間を示しておきました。参照ください。
– なぜ今の自分のいる分野に興味を持ち始めたのか?(54分20秒より)
– 今まで研究、事業での苦労したことは?(58分00秒より)
– チームをどうやって作っていったのか?(1時間3分00秒より)
– 日本に戻る予定は?日本でなにを変えたいか?(1時間5分20秒より)
– ロールモデルはいるか?(1時間8分00秒より)
– 成功体験は?(1時間10分50秒より)
– アメリカと日本の違い。来てから何を感じたか?(1時間17分15秒より)
– 日本の社会、日本人に対して何を思うのか?(1時間22分30秒より)
■ 感想
日本から離れたことによって持てる視点をもった普段聞くことができない20代の若者の意見を共有できる、非常によい機会となりました。どうもありがとうございます。
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9月10日金曜日 午後7時 Palo Alto
9月のギークサロンは、iPad版PDF/Comic Readerとして最速と噂されるアプリ「Bookman」の開発者である加東崇氏にホストしていただきます。
スピーカー: 加東 崇 / かとう たかし
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2000年、株式会社CSK総合研究所(現・CRIミドルウェア)入社。
…主にゲームのリアルタイムグラフィックス技術の開発に従事し、DreamCast、PS2、Xbox、Wii、PS3、Xbox360など様々なプラットフォームでの開発を経験。主に携わったゲームは、セガのVirtuaFighter5など。2009年に渡米しNAMCO BANDAI Games Americaを経て、現在は再びCRI(サンフランシスコ支社)に在籍。iPad用アプリ「 Bookman –
PDF/Comic Reader」を個人で開発しながら起業を計画中。
ブログ:http://d.hatena.ne.jp/tkato/
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8月13日金曜日 午後7時 Palo Alto
Amazon.comやGoogle, Salesforce.comに代表されるクラウド関連ビジネスが急速に拡大する一方、それを支えるネットワーク側でも大きな技術的進歩があります。Networking技術の進化なくしてクラウドコンピューティングの真価は発揮されません。本講座では、クラウド時代を支えるCore IP Networking 技術の概要と今後の動向についてお話します。
スピーカー: 曽根原春樹 / Juniper Networks
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2001年中央大学総合政策学部卒。2001年CiscoSytems入社。2004年までCore IPネットワークの製品・代理店サポート・キャリアネットワークのコンサルティングに携わる。2004年Peribit
Networks入社。同社日本法人立ち上げに深く関わり、日本のWAN OptimizationマーケットのEvangelistとして尽力。2005年同社がJuniper Networksに買収される。以降ローカルのPresales, Technical MarketingおよびProduct Managementに従事し、2006年末よりJuniper US本社移籍。現在WAN Optimization製品のグローバルサポート部門にてWorldWideに陣頭指揮をとる。
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アジェンダ
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– 企業ネットワークの今昔 (技術的観点から)
– クラウドコンピューティング時代にコアネットワークに要求されること
– クラウドを支える中核ネットワーク技術、MPLSとは?
– MPLS応用テクノロジー概説
– クラウドよ、どこに流れて行く?
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7月9日金曜日 午後7時 Palo Alto
今月のセミナーは、Wall Street Journal 記者のケイン・岩谷ゆかり氏と、”Tech Mom” でおなじみのコンサルタント、海部美知氏に対談していただきます。
ケイン・岩谷ゆかり (Wall Street Journal)
ウォールストリートジャーナルスタッフライター。東京支局でソニーや任天堂の担当を経て、現在はアップル社と最近まではアメリカのゲーム業界を担当。WSJの前はロイター通信でIT記者としてサンフランシスコ、シカゴ、東京支局に勤務。ジョージタウン大学卒業。現在はサンフランシスコ在住。
http://topics.wsj.com/person/k/yukari-kane/1384
海部美知 (ENOTECH Consulting)
エノテック・コンサルティングCEO。NTTと米国の携帯電話ベンチャーで日米双方での通信事業開発を経験。その後独立して、現在はグローバルな通信・ネット分野とその他技術分野において、提携・投資、企業戦略のアドバイスなどを行う経営コンサルタント。シリコンバレー在住。子育て中の主婦でもある。著書に「パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本」(アスキー新書)、連載に「WirelessWire News」がある。「Tech Mom from Silicon Valley」 のブロガーでもある。
6月11日金曜日 午後7時 Palo Alto
今月のギークサロンは、Twitter社にてソフトウェアエンジニアとして活躍されている、丹羽善将氏にホストしていただきます。
スピーカー: 丹羽 善将(にわ よしまさ)
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2007年 慶應義塾大学大学院政策メディア研究科卒業、2006年在学中にソフトウェア開発会社[点スイッチ有限会社](http://dotswitch.net)を設立。ウェブサービス、アプリケーションの開発に従事。2010年Twitter,
Inc. 入社、渡米。国際化チーム、ソフトウェアエンジニア。Twitterアカウントは@[niw](http://twitter.com/niw)。
みなさん、こんにちは。
先日の柴田尚樹さんのサロンのレポートをお送りします。
レポーターは山本顕範さんです。
人類の全科学知識を整理する技術「知の構造化」
柴田 尚樹さん (Naoki Shibata, Ph.D)
東京大学 助教, スタンフォード大学 客員研究員, (楽天株式会社 執行役員)
知の構造化とは
東大の前学長の小宮山先生による話で「科学が進化すればするほど、最先端の学術研究は細分化し、論文の量は膨大になる。したがって専門家であってもある学術分野の全体像が分からなくなってしまう状況は深刻な問題を引き起こす。その結果政府も企業も間違った投資が行われてしまったり、研究がニーズに対応した方向に進まないだけでなく、学問間の融合が起こりにくくなる。ついてはある学術領域の全体像を見えるようにする方法論を作りたい。」という話が発端との事。
これを「知の構造化(Structuring Knowledge)」と呼び、中でも、学術知識を対象にした「知の構造化」を「学術俯瞰」と呼ぶそうです。
5月7日金曜日 午後7時 Palo Alto
今月のギークサロンは、東京大学にてウェブと人工知能、ビジネスモデルの研究で教鞭をとられている松尾氏にホストしていただきます。ウェブ上の大量のテキストから構造化された知識を取り出す技術、社会予測、さらには人工知能への展開についてお話いただきます。
スピーカー: 松尾 豊/ まつお ゆたか
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1997年 東京大学工学部電子情報工学科卒業.2002年 同大学院博士課程修了.博士(工学).同年より,産業技術総合研究所研究員.2005年10月よりスタンフォード大学客員研究員.2007年10月より,東京大学大学院工学系研究科総合研究機構/技術経営戦略学専攻/知の構造化センター准教授.専門は,Webマイニング,社会ネットワーク,人工知能.
http://ymatsuo.com/
4月9日金曜日 午後7時 Palo Alto
皆様、こんにちは。
4月のギークサロンでは、東京大学、楽天株式会社、スタンフォード大学にて活躍されている柴田尚樹さんをお招きし、柴田さんが今挑戦されている「人類の全科学知識を整理する」という壮大な試みについて講演していただきます。
スピーカー: 柴田 尚樹 (しばた なおき)
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2009年、東京大学・技術経営戦略学専攻で初の博士過程修了。複雑ネットワーク分析、自然言語処理等を用いた知の構造化、技術経営戦略を研究。2006年楽天株式会社入社、経営企画室。主に新サービスの開発に従事。
現在は、東京大学大学院工学系研究科イノベーション政策研究センター特任助教、楽天株式会社(非常勤)、スタンフォード大学CSLI客員研究員。
http://shibataism.com/
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